「彼」と俺
再会したのは池袋だった。
顔を会わせると二言、三言は交わす位の距離。
個人的な話をするにはまだまだ月と地球位に離れている。
俺はバンドマン、彼は元格闘技。それはお互い知っていたと記憶する。
更に一年後の夏、今度は練馬で再会する。
あの年は猛烈に暑かった。
確かあそこでカミさんと娘を初めて見た。
娘が水疱瘡で病院へ行くと言っていたっけな。
ちなみに、その頃から娘は彼に瓜二つ。
大分、砕けた話もするにはしたが、お互い相手に興味など無く、当たり障りのない上辺でやり過ごす感じ。
俺はその時期が一番「狂ってる」頃なので、細かい記憶は全般的に曖昧だ。
だから、その翌年の春だったのか、それとも翌々年の春だったのか忘れたが、彼のオフクロさんが亡くなった。
奇しくも時を同じくして、俺は彼と一緒に働く様になる。
同世代である俺から見た彼と云うのは、我儘の一言に尽きる!
以下、細かいディテールを箇条書きで。
大食漢である。
感情が昂ぶると極度にヒステリック。
悪どい。
妙に神経質。
勿論、良い面もありますが、上記の部分が突出し過ぎで圧倒的だった。
俺はむしろ彼の娘と仲良しだったな。
俺は昔も今も見た目は「柄が悪い」って言われるが、女の子には好かれるんだなぁ。
女の子にはね……。
兎に角、色んな事がお互いの間を行き来して、月日は飛ぶ様に過ぎていった。
そして、あの事件が起きちゃったんだよな……。
つづく、かもね。