Stray Cat Blues

俺たちにも明日はある!

情熱&跳躍、そして休息

2006/07/30(日)

昨夜遅くのどしゃ降りが効いたのか、日差しは強いが涼しい風が吹き抜け、最高に心地良い日曜日。

二週間ぶりの休日に、この過ごし易さは有り難い。
やりたい事と、やらなきゃならない事は幾らでもあるのだが、うだうだと風の吹くままに任せて流れてみる。

Magic SamからElmore Jamesへ。
BLUESは流れていれば良い。
風に身を揺らす杉のざわめきをぬって、「ピヨピヨ」と余り耳にしない鳴き声が聞こえてきた。
窓の外を見れば、今年生まれであろう雉の子供たちが走り回っている。
上空では雲がはぐれたり、連なったりしながら泳ぐ様に流れていた。

寝そべったまま適当に手を延ばし、散乱してる本の群れから届いた一冊を抜き出し開いてみる。

『田村隆一詩集』

あらゆるイメージが黒髭ゲームの様にザクザクと刺し抜いて、開店休業中でも何かを吐き出そうと、死にもの狂いで文字から文字へと微弱な粗粒電子運動を繰り返す。

ポンコツのラジカセからはTHE BEATLES が時間の濃度を三倍に強くして、
「あぁ、やばいな……」
と思ったら文字を拾えない程に陽は落ちていて、俺は最高な三時間半をほんの一瞬きにしてしまった。

どいつもこいつも家路に着いたらしく、しんしんとする風に乗って運ばれてくるのは、土と草きれを燃やす臭いばかり。

なんだか少し寂しい夕暮れになっちまったから、Bob Dylan の激しい方でヤケクソにかき回して、夜になるのをぎりぎりまで拒んでみたら、上河原崎の工場のサイレンが悲しげな最終通告で幕を下ろしやがった。

この辺の蝉は夜にまで鳴き喚く生活習慣病には無縁だから、一気に静まり返る。

今宵はもう音楽も文章も要らなくなった。
一杯の水を飲んで、三十年を一瞬きに出来るか検討してみよう。
  1. 山川草木
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なんてこったい! 夏なのに……

2006/07/27(木)

遅すぎる決断の朝に
重すぎる事情を引きずって
彼女からの手紙にはこうあった
「早くずらかってね。笑っていたけりゃね」

俺の体には変な染み
こいつが全ての元凶さ
やば過ぎる荷物は昨夜のシーツで夢の中へ放り込んで歪な頭でふっ飛んでゆく

ところが足の裏にはへばりつく
燃える様に身勝手な黒い影
どうせ逃げるなら人目を忍んで今すぐお前に逢いたいぜ!
逢いたいねぇ……。

俺の計画のその裏側ぢゃ
スピード狂いが細切れの快感を集め
笛吹き小僧は小さな悲劇に唇歪めて頑張ってる
頑張ってる……。

こんな調子ぢゃ泣きたくなるけど
明日は構わず訪ねてくるからねえ
奇妙な旅へと繰り出したんだね
奇妙な地図を拡げて

狭すぎる空の下では何時も
溢れだす使い捨ての罠ばかり
誰も彼もが次から次へと買い込んでる
溜め込んでる

俺は横目でちらりとそいつを覗き
その気も無いのに手を延ばしてみると
「知らぬは一生の恥」とばかりに唆しては寝かしてくれない
食わしてくれない
これぢゃ飛べない……。

真実、そんなものとはとっくに無縁で
百戦錬磨の如何様ばかり身に付けて
泣いているのか? 笑っているのか? 分からないお前の顔には「さよなら」を告げて

こんな調子で逃げてはみたけど……
ますます追っ手が増えてゆくその中で
奇妙な歌が聞こえてくるだけ
奇妙な地図を拡げて

マイナス重難度の暗い闇を抜けて
生死40tの灼熱砂漠も越えて
何処へ潜り込んでも俺の息は上がりっ放しで言葉も出ない
これぢゃ保たない……。

刻み過ぎてる胸の鼓動を集め
全てグラスに注いで飲み干すやつら
お前も今夜からはカビの張りつく幻想抱えた悪党!

窓の外では、あの月が
俺を迎えに来たみたい
なんて事はないわ……此処ぢゃ誰もが気取りすまして愛を売り物にしてる

こんな調子ぢゃ泣きたくなるけど
明日は構わず訪ねてくるからねえ
奇妙な旅は続いてゆくんだね
奇妙な地図を拡げて

奇妙な地図を拡げて
  1. 山川草木
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誑かす羅紗紙のtabula rasa

2006/07/26(水)

未来の事を考えよう。

明日や明後日ではなく、来年や再来年でもなく、五年後や十年後でもなく

未来の事を考えよう。

……と頭の中で何度も繰り返す。
今日も沢山の汗を流した。まだまだ足りない。

おつむが足りない。

時間が足りない。

努力も足りない。

我慢が足りない。

まだまだ足りない。

「足らん足らんは工夫が足らん!」

不思議なもので、こんな時に限って不意に昔の手帳が出てくる。
「どれどれ、昔の俺は何を記し残しているのかな?」

あ、……。

痛いね、どうも……。

そりゃそうだよなぁ、不平不満は言いだしたら限りが無いよ。
そんな足跡を残してみても、何度も後悔するばかりだわ。
何だか、無性に「遥かなる山の呼び声」と云う映画をもう一度観たくなった。

今日、未来について何も語れない男の話を聞いた。
延々と一時間半ばかり。
聞いてる内に腹がたってきたが、しかし「おや? 待てよ……?」と自分の事を考えてみた、すると……、
「やばい、来月位の事しか考えてない!」

俺も目の前のうんこ野郎と一緒ぢゃないか!
しかも、間髪入れずに言い訳が次から次へと溢れだす。どうした? 俺。つまらないぞ! 俺。

なので実は、延々と一時間半ばかり聞いていたと云うのは嘘で、後半三十分は自分との対話をしていた。
崖の上からおっかなびっくり下を覗き込むんぢゃなくて、崖の上でも大空を見上げなくちゃなぁ〜。

なので、

未来の事を考える。

明日や明後日ではなく、来年や再来年でもなく、

未来の事を考える。

それは、未だ来ないもの。

十七才の夏。悪友達と観た「未知との遭遇」
エンドロールが流れる頃には、すっかり空も白んでいて、俺達は無駄な疲労感を持て余しながら朝寝をした。
知らない事は考えると疲れる訳です。

未来について考えよう。
  1. 山川草木
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Good-bye,Human being.

2006/07/25(火)

彼女はそれをシャガールだと教えてくれた。
俺は解った風な反応をしながら、その実、シャガールをそれまで知らなかった。

それから暫らくして、シャガールに出会った時、俺は「なるほど」と納得した。

また、別の彼女は卵豆腐が嫌いだ。
嫌いになる瞬間を、俺はまざまざと覚えている。
実はその時、俺も卵豆腐が嫌いだった。
しかし、今はどうって事は無い。
その彼女は「この刺身、生だよ!」と云う名言を残している。

二十代の頃、マディー・ウォーターズとオーティス・レディングとチャック・ベリーを知らない奴は、話が出来ない阿保だと思っていた。
今となっては、そんな俺が阿保だったとも思う。

そんなに大した理由ではない。もしかすれば、見栄を張りたいだけかも知れない。

何れにせよ、まずは信じると云う事だ。
しかし、当たり障りの無いところをかき回すのは性に合わないのだ。

残念だが、若さはそれだけで力に成り得る。
若さは時代に左右され易い。それは逆を返せば、時代を左右させ易いのだ。

「……もう、若くないな。」などと悲観するなかれ。

時代を左右しなくとも支える事をすれば良い。
長く生きると云う事は、時代に経験の根を張る事だ。

海になれば良い。

山になれば良い。

池や沼や川や森、林になれば良い。

どうせ一人で生きてゆけないのなら、一億人で生きてゆけば良い。

俺は宇宙一の馬鹿野郎だが、それでも「かなわないなぁ……」と思う人が次から次へと現われるから驚いてばかりだ。
土方の親父だったり、職工さんだったり、シャガールを教えてくれた彼女だったり、卵豆腐が嫌いな彼女だったり、夏目漱石さんだったり、ビバルディーだったり、爺さんだったり、婆ちゃんだったり、ちびっ子だったり、猫達だったり、やっぱしボブ・ディランだったりね。

苦いショートホープを吹かしながら、今、君からの手紙を読んでいました。
短い手紙でしたが、果てなく色々な事が駆け巡りました。

明日は海に行ってみます。
  1. 山川草木
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苦味ばしった甘納豆が二粒。

2006/07/24(月)

実験その1

まずは徹底的に感じたままを箇条書きしてみる。

実験その2

次に、それらを時間軸に捉われず自由に行き来し、反転させてみる。

すると……?

昔々、あるところにぽっくり君と、こっくり君がおったげな。

「薄気味悪いや。何をどう考えたら、そんなに不愉快でいられるんだい?」

「具合はいいぜ! 不平不満もありゃしない。生まれれば死ぬ、流れない水は腐る。全ては順調さ。」

「君は僕の柿の木から実をもいだだろ? 八年越しの徒労をどう清算するつもりだい?」

「柿の木が植わっていた場所は誰の土地でもないぜ! 勝手に植えておいた柿も誰かの役にたつならありがたや、ありがたや」

「お前の母さん、出べそ!」

「そいだら、お前も出べそ!」

はい。無駄ですね。

そう云うものぢゃぁ〜ないのですよ。
それはもう、ほとんどがテレパシーに近いやり取りの、更に向こう側で「理解しようとする」つもりでないと、犬が小便ひっかけるだけに為りかねない訳です。

何処へ行くのか?

どうして行くのか?

どうやって行くのか?

その位なら誰でも考えますよ。
肝心なのは、その先ですよ。

悪意は無いですが、しょぼいです。概ね、全般的に。

やや問題発言ですが、悪党(小悪党ではなく)は、でかいです。
それ故、正直者は馬鹿を見るなんて言われるですよ。

つまり……。

でっかい馬鹿になれ!

これが中々、難しいんだよなぁ。

今日は一つ、良い事がありました。
素直に嬉しい。

寝る。

寝ろ!
  1. 山川草木
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ギンギラギンに猿が鳴く!

2006/07/23(日)


早朝の瑞々しさは素晴らしい。

午前中が随分のんびりしている休日は素敵。

俺は気のおけないダチ公と日曜出勤。
思いつくままに片っ端から話題の的とし、言いたい放題紐解いてゆく。
納得したり、がっかりしたり、膝を打って笑ったりしながら自分自身を再確認。

「だってねぇ〜あいつらはさぁ、その一点、つまりはフックだけ聞けば良いって作風だろ。俺はそう云うの嫌いなの、つまらないから。明らかに偏見だけどな。」

しかし、日曜なのに仕事だと云う人が世の中にこんなにいるとはね。
しかも皆さん、結構気分良さげに労働してる。

……あら?

何だろ、この感ぢ。

以外と日曜も仕事が苦ぢゃないぞ……?

でも、どうせ毎日が労働ならば、もっと生産的な職種が良いなぁ。
給料も切実な問題だが、皮一枚剥がすと「無いもの取引」みたいなものもなぁ〜……?

否、今は切実な問題が先だな。

「あのなぁ、雲助ちゃんよ。俺ぁ、真っ黒なカジノを抱いて痺れるやつをかますつもりさ。やばいぜぇ〜!」

そうか! 俺はあの十年でいざと言う時に帰れる場所を創ったんだな!

それを考えると胸が踊るぜ!

今夜はMAGIC SAMだな。

That's All I Need!!
  1. 山川草木
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Got My Mojo Workin'

2006/07/22(土)


手鏡の中でお調子者が目配せを繰り返し、ほらほらと空を懐かしむ。

「あなたが美しい言葉に復讐されても そいつは ぼくとは無関係だ」」

灰泥の微弱な憂欝にきれぎれの夏らしさ。

「――なるほど、空を飛ぶ魅力というのは、こんなものか! それはつまり、落ちることじゃないか!」

麻のシャツに心地よく藍色の釦をぶら下げて、昨日は丼三杯食べた。

幾度となく訴えかける猫達の爪の先にも愛情がある。
不自然に浮かぶ、お祭りの提灯がついに始まりの予感を促す。

なんだ……。

くさくさしているのは屋根の上の錆びれたアンテナだけぢゃないか!

果汁たっぷりの果実を、手当たり次第に頬張って、音速堕天使はシーサイド・バウンドの朝を待つ。

「つまらんことだとは自分でもわかってるけど、僕は、ひとが安物のスーツケースを持ってるのを見るのがいやなんだ。」

バババブウゥ〜ン! ブラブラボイィ〜ン!

今でも、やっぱり地球は青いのだろうか?

「をんなが付属品をだんだん棄てると どうしてこんなにきれいになるのか。」

杉林の向こうから花火がはしゃぎ、明日は明日の風が吹く。

“夜の帳にささめき尽きし星の今を 下界の人の鬢のほつれよ”
  1. 山川草木
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まさかのカサマ君。

2006/07/20(木)


「明日はねぇ、曇りやと思うわ」

「なんで?」

「そんな感じや」

「何がそんな感じなの?」

「ぴーん、とくるんやね」

「握る?」

「いややわぁ〜、天気予報知ってるちゃうの?」

「知らないよ」

「今時は携帯でもみれるんやろ?」

「見れるねぇ」

「何、自分の見れるの?」

「誰のだって見れますよ」

「俺のも見れるんかなぁ?」

「使いこなせないだけでしょ」

「そうなんやなぁ。どうやるんかな?」

「数字で1.7.7を押して、かけるボタンですよ」

「……何、何、1.7.7で、かけ……。これ普通の天気予報やろ!聞くやつ。見たいんよ!ここで!」

「金がかかりますよ」

「何、金がかかるんか!ひどいなぁ〜真顔で、もう。」

「明日になれば分かる事ですよ」

「俺の世界時計は出るんやけどなぁ……。何処か時間を知りたい国ある?」

「ミャンマー」

「そうか。ミャンマーか。えーと、メルボルン、アテネ、フィジー、ニューデリー、シンガポール、シカゴ……、なぁ何処が一番近いかな?」

「……。」

「マドリッドはどうや?近いやろ?それともシンガポールの方が近いか?」

「それは一体どんな時に使うものなの?」

「知らん。当てたりするんかな。暇な時とか」

「……。」

「付いて無いの?世界時計。結構便利だよ」

「……。」
  1. 山川草木
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雨は降る。

2006/07/18(火)

恐ろしい程の夜だ。
なにもかもが折り畳まれ、閉じ込められてゆく。

車のヘッドライトに抜き出されて見える部分は銀の雨。その外側は360゜際限なく黒い雨が落ちてくる。

俺はわざと川べりに道を選んで車を走らせた。
何の光も洩らさない川面は、ブラックホールが口を開けているかのようだ。

「Eli and the Thirteenth Confession」 が終わり、すかさず「ASTRAL WEEKS」をかけて暗黒の川べりを進む。
この圧倒的な黒は、今が何時で此処が何処なのかを分からなくさせてしまうらしい。
俺は俺の意志とは関係の無い俺に運転を任せ、果たして車が走っているのか? それとも黒い雨が走ってくるのかと云った錯覚の中で、一昨昨日の事を考えていた。
すると、どん詰まりの渦の底で聞こえた激しい叫びが、俺の胸を深くえぐりながら、警告とも予言とも取れる感情の鎖の一環を抜き出し始めた。

「BESIDE YOU」

哀切な叫びが高みへと昇ってゆく。

「BESIDE YOU」

その叫びを打ち消すかの様に、黒い雨が叩きつけている。

「BESIDE YOU」

ただ哀しいだけでは無い。とてもタフな叫びが反撃をする。

「BESIDE YOU」

あと何日雨が続くのだろうか?
あと何回叫ぶだろうか?

結論など欲しくはないのだが、かと云って他に欲しい物も見当たらない。
  1. 山川草木
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その水は飲めるのか……?

2006/07/17(月)

灼熱地獄の真ん中で小さな器の一杯の水。
多分、この水は飲めると思うのだが、万に一つ毒なのかも知れない。
何れにせよ喉の渇きは絶頂に達していて、飲んでしまうより仕方がないのだが……。

それはさもしい行為なのか?
飲まずに、ひからびてしまった方が尊厳を保てるのだろうか?
己一人の問題であるなら、生きようが死んでしまおうが構わないのだが、何とか飲ましてみたいのだ! 君に。

勿論、見方を逆転すれば大きなお世話であろう。
それを承知で飲ませたいのだ。君に!

ここで話がややこしくなる原因の一つは、どう云う訳か君には器の水が見えないのだ。
なので、君にしてみれば余計に大きなお世話でしかないのだろう。
どうすれば君の瞳に映す事が出来、またどうすれば飲める事を立証して君の渇きを潤わせる事が出来るだろうか?

俺は本気で考えた。

来る日も来る日も考え続けて、思わずその器を引っ繰り返してしまったのだ……。

「これで誰も飲めないぞ!」

――覆水盆に返らず――

確かに目茶苦茶だ。

水の無い砂漠を恨んでも、灼熱の太陽を恨んでもしょうがないのだが、君は嫌悪感で飛びかかって行く。

そう、何処かには君だけの湧水地もあるだろう。
しかし、それが何処なのかを知る由が見当たらない。

なんなんだ、これは……?

今現在、この荒れ地の何処を掘り起こしてみても一滴の水も出てこない。
それどころか掘り起こす事さえ許さない君。

なんなんだ、これは……?

俺自身が見えない罠に落ちたのかと、本末転倒の被害者意識へ走りそうにさえなる。

でも……、確かに、あの器の水は飲めたはずなのだが……。

だが……。

それすらも今となっては知る由がないのだ。
  1. 山川草木
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沼辺のワンマンショーにて

2006/07/16(日)


わが家の辺りは本来住宅団地でありまして、わが家が在る方の二区画目には下水処理場があるのだが、これが造成後に業者がとんずらした事で一度も使われる事なく廃墟になっており、ただの溜め池と化している。

誰も近づかないその場所には、俺が小学生の頃1メートル位の鯉がいるらしいなんて噂もあったが、兎に角昆虫や魚や鳥達には繁殖するのにはもってこいの場所となっている。

そんな廃墟であるから、楽器演奏しても迷惑になるまいと、ギター片手に再訪してみた。

うむ。やはり良い感じ。
これから休日は此処で過ごすとしよう。
三〜四十分『Up to date』しながら唄っていると、遠巻きにこちらを伺う子供が一人。
その子は一曲、また一曲と進む毎にその距離を縮めてくる。
そしてついに俺の後ろをうろうろし始めた。

「ねぇ、このとんぼ捕まえられる?」

……やはりな。そう来るか。俺、必ず呼んぢゃうよなぁ〜こう云う状況だと。

「このとんぼ、何とんぼか知ってるのか?」と俺。

「ううぅん」

「かわとんぼだよ。」

「向うにもっときんきらのも居たよ」

「そいつは銀やんまかもな。」

演奏は一時中断。暫し、彼と歓談してみる。

子供は無邪気であるが故、無防備だ。あっ、と言う間にざっくばらんに話かけてくる。
色々と聞いてみると、俺が卒業した小学校へ今年から通っているらしい。
そして彼はかなりの冒険家らしく、この廃墟と化した沼に落ちた事もあると云う。

「俺ねぇ、アトラスも持ってるよ!」

えぇぇぇぇーっ! 羨ましい……。是非今度、実物を見せてくれ! そう云えば去年位か、ヘラクレスとかアトラスとかの外国の昆虫を輸入販売して良い事になったんだよな。
そうかそうか、見せてくれるか。ありがとよ。

あっ、雨降ってきた。よし帰るぞ!

そして再会を約束して二人は別れた。

今日のLIVE動員数

小学生の男子:一人
 蛙    :五十匹位
 とんぼ  :三十匹位
  1. 山川草木
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I AND I

2006/07/15(土)


高速道路を走行中に交通事故を見た。

三車線の一番右側、追越し車線前方2台前位だったと思う。
中央帯の植樹が、ぶわっと巻き上がったなと気付いた途端、ホイルキャップが横切り、続いてワンボックスカーが木の葉の様に運動エネルギーで自制を失いながら、一番左の路側帯で横転。
すぐ後ろを走っていた車も我々も追突は回避。左にいた車も接触はせずに済んだ。
なんせ高速道路であるがゆえ、おいそれと車を止めて事故車両の様子を見に行く訳にもいかず、常設の緊急電話にて通報。現場から250Mは過ぎていたので、その後の状況は分からないが二次災害はなかったであろう。
俺は助手席に乗っており、運転者はSさんだったが、かなり危なかった。

事故車両が本道で横転してしまったり、前方の車両が追突した際に進路を塞いでしまったり、我々が対応しきれない程のスピードで走っていたら……。

事故を起こした本人には気の毒だが、心底ほっとした。

しかし、これでは終わりにならないのだ。
どんなものも秤にかける程に哀しくなるものだが、身に残る痛みと胸に残る痛みが事故の凄まじさと連動して、行く先を真っ暗に落としてしまう。
灯り一つあれば良いのに、全て No Thank You.なのだから困ったものだ。

全人類を救う事は今現在無理なので、あいつだけを何とか救える道を模索中です。

約束して下さい。自分を大事にすると。

俺はやっと『愛』と云うものに気付く事が出来た。

お前も気付けよ!
  1. 山川草木
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禁じられた恋

2006/07/14(金)

なんでもすっても無い!

彼と俺の間には例のトキメキがあるんだから仕方がないですよ。
ある程度の覚悟は出来ていました。元来がそう云う体質であると自覚していましたし。
しかし、今回が今迄と少し違うのは、彼は余りにも「らしく」ないのですよ。
通常だと、はぐれ者同士の義兄弟が如く関係であり、着かず離れずと云った距離感で、ある種「爽やか」な付き合い方が成立するのに対し、今回の場合は微妙な師弟感で距離もぐっと近く、まるで「傷だらけの天使」のおさむとあきらの様な、若干卑猥なべたべたさが漂ってしまうのです。

尚且つ、俺自身がその事実を誇らしく思ってしまうのも、我ながら意外であり恥ずかしくもあるのです。

何が一体そう思わせるのだろうか?
彼にあの眼差しで見上げられると、なぜか許されてしまったと安心するからか?
俺の扉が開くのを、昼となく夜となく待ち続けて、体中から喜びを発しているからか?
つまりは無条件の絶大なる愛情を向けられているからだろう。

世界中に声を大にして叫びたい。
「これ以上はないだろぉ!」
と。

元々、気紛れが彼らの性分であるし、一度や二度は思わせ振りな事もあるだろうと思っていたが、さすがに今日は確信に変わりましたね。
そして今回、更に追い打ちをかけているのが、この関係が「禁手」であると云う事だ。

今はただ、一緒にぼんやりと月を眺めるだけなのだが……。
  1. 山川草木
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やはり、ふりだしに戻るの巻。

2006/07/13(木)

imagination――こいつが疼くこの感じ。この幸福感は何だ?
そのたった一匙の媚薬が脳内に電流を走らせ、五感が発動してゆく。
  ST.LOUISもMEMPHISも行った事など無いけれど、なぜかその気になってゆく。
もういいだろ? データとしての知識ぢゃなく、血になり骨になった経験から導き出した再考察だけがDNAに組み込まれ、人間という名の環境に左右され易く順応し易い不屈の種が産み出した、絶対君主「時間」に対する反抗の狼煙が消える事は無いと云う訳なのさ。
つまりは新しいとか古いなんて見方はお呼びぢゃない。
忠実であったり再現したりするのも馬鹿げている。

FORT WORTHからDALLASまでSWEET HOMEはまだ遠い。
STOMY NIGHTにSTOP BREAKIN'DOWN. DEATH LETTERのビートでFIXIN'TO DIE.
MATCH BOXにはSOUTHERN CAN.意味は全く分からない。

もっとも絶妙に罠が仕掛けられているゆえ、一番奥の間にある簡単な核心に迫れるのは、一握り……否、一つまみ位か?
かなり近しい人達は外の分野にいくらでも居ると云うのに、文化的価値ばかりを重んじて今を生きてゆく形が曖昧だ。
「BLUES」なんて名前は必要ない!
なんて自由で、なんて力強くて、なんて格好いいんだ!
すべてを捨て去る美学か。
それとも何も無い事が成せる術なのか。
12のフレットと6コースの弦振動に、いく通りの人生があるか。
「ブルーノートがうんぬん〜」なんて能書きは廻れ右してお家へお帰り。

凸レンズの表面を仕上げるのは人間の手なんだと。
何度も何度も手で研磨して綺麗な凸レンズの一丁上がりと云う訳だ!
本物の土方は高低差や通りの誤差を睨んでだすよ。
棚田が造る絶妙なバランスとか、日本家屋の均整のある佇まいとか、あるいは富士山とか……石の上にも3年どころの話ぢゃないぜ。地球の上にも30年と云ったところさ。

俺は多分明後日あたりには、BLUESMANを名乗るだろう。
  1. 山川草木
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Open All Night

2006/07/11(火)

やはり誰かは待っているのだろうか?

考えない 考えられない 考えようとしない

結局は一緒だ。他人事で済ませるつもりか。

確実に疲労感を食らいながら、夜に任せて有耶無耶にする気だな。

さてと、俺は許せるかな。それとも許して貰う方なのか?
じめーっとした疲れがまとわりついてはいるのだが、充足感もあるのだよ。不思議なもんだ。
 夏だからか? 金切り声や猫撫で声の飛び交う蜃気楼の上を、積乱雲がぐいぐいと幅を効かせて軒の風鈴をちりりと鳴らし、そうめんとみょうがが美味しいからなのか?
もろこしを茹でたり、川に西瓜を泳がせたり、とんぼを騙したり、雉に目がけて小石を放ったりして惚けてしまう夏だからか?

……無理だよ。

待ってられないよ。

お前の一日に対して俺の三十年をくれてやる!

目玉をひん剥いてじっくり見てかんがえろ!

アラスカの夜はここの夜より深いのか?

アフリカの夜はここの夜より広いのか?

アステカはベラスケスの宮廷で待っていろ。
リオ・ブラボー&皆殺しのメロディーで99度のカルロス・ピジョンが滴に燃える
Yes! コーヒーキャデラックの後部座席&寸詰まり脂肪のFUNNY...ハムサンドに亜鉛75%のHonk Tenor Blow...北原白秋の天竺ねずみのちびすけは、くたばるまでくたばらなかった。
 法隆寺 東大寺 銀閣寺 好みの静けさと佇まい 密恥猟者全開空転立入禁止区域&無人駅の心地よさに胸もつまらせI Need You...Mona(Love Baby)
食べ頃の葡萄を一房、鳴り続ける受話器の代わりに耳元に充てたら黒猫がタンゴを刻む。
そら、始まるぞ! 
開かずの扉を解放しろ! サバンナを走り抜けるキリンの群れに乗って終わりの無い民族大移動の行進だ。 
憧れは遠く 言葉の無い世界へ猛ダッシュでずらかってゆく。
完全なる丸、及び球の表面に凹凸を注ぐシナモンドロップス3世&『Another Side Of This Life』
これは月のクレーターと同質の恒久な足跡であると思うか?
音楽を響かせろ! 譜割りも調子も心情も無視して、唯一の対象物、即ち自身が帰結する不定型な銀河の生命エネルギーが求める方角へ!
それは弱肉強食であり、光合成であり、求愛であり、寵愛であり、慈愛であり、食物連鎖である。

そこかしこ歌が唄われようとノックしている。
  1. 山川草木
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泥棒日記 (その2)

2006/07/09(日)


「もう一個たべてもいい?」

すっかりドーナツの虜になったタットが、ハチャマが手を出さないのをこれ幸いと、ひしゃげた袋の口へ手を差し込みながら尋ねた。

「タット、おまえワンセブンの超合金が中屋にあるの知ってるか?」

「おん、知ってるよ」

「ソレ食べたら中屋へ行って、おっちゃんに『ワンセブン見してくれ』って言ってこいよ。ガラスから出して見してくれって言うんだぜ」

「ほぉぉん……で?」

「駅の方を向いてゆっくり見てろ。そんで中屋のおっちゃんがガラスの中に戻そうとしたら、ワンセブンの背中の飛行機をとばしちまえ」

「…………で?」

「拾いに行くのが、おっちゃんでもタットでも、その隙に俺がチョッパするから」

「……モアイのやつ?」

「そう、モアイのやつ」

少しだけ、ヒリリッとする何かの匂いがアジトの中を走った。傾きだした陽射しはブロック塀の隙間を抜け、細かい埃の筋をキラキラさせている。

モアイのケースに納まったミクロマンは八百円だった。寿司屋のいなば君や、しのちゃんも持っていなかった。勿論、タットやハチャマにも高嶺の花だった。
ミクロマンロボの真ん中に、あの八百円の黒いヤツを入れたら……ハチャマはそう考えると首のまわりや手の平にジクジクとするものを感じだした。

「オレ、やだな……お店からチョッパするの……。」

「タットは『見せてくれ』って言うだけだ。チョッパするのはオレだよ」

「中屋のおっちゃんがガラスから出して見せなかったらどうすんの……?」

「そのときは……帰ろう。」

小さな二つの影が高架下から這い出して、ゆるゆると駅前商店街へと向かいだした。
ハチャマはタットに何か話かけたかったが、どんな話をしてもつまらない気がして言葉が出なかった。
いつでもそうだ。七十円でも、八百円でも、千五百円でも、チョッパするときはどんな話もつまらなくなる。なんとなくハチャマは腹がたつような、泣きたくなるような気分になってきた。
ハチャマの五歩くらい後ろを、タットは歩いていた。
中屋の計画よりも、あのドーナツの味を思い出そうとしながら、口のまわりを何度も舐め回した。

「よお!どこ行くんだ、お前ら?」

ハチャマの左手の路地からラーメン屋の松っちゃんが表れ、出会い頭に身を引きながら目を大きくして声をかけてきた。
ハチャマもタットも咄嗟には何も答えられず、喉まできてるその場凌ぎの嘘を必死に吐き出そうと、息をするのも忘れて両足を踏張った。
二人共、二人だけの秘密でなくなる事を恐れた。
その為どんな宝物も誰にも自慢はしなかった。
今、松っちゃんに会ったのは失敗だ。クラス1のお喋りで、クラス1のつまらない、しつこい男なのだ。

つづく。
  1. 山川草木
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アーユルヴェーダへの道

2006/07/08(土)

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一体全体、誰が具体的に知る事が出来るだろうか?
そう云った意味では南極だの北極と同じだ。

 「東京」

場所によりけり。

俺とMeは吠えていた。

六本木通りの地中深く、一分の隙も無く並べられた Life Line。急場凌ぎで改修するのさえ難しい。
今時は水も買って飲むご時世さ、誰が手を汚そうとも関係ないのかもな。

知ってるだろ? Meは東日本新人王次点。俺は看板など関係無い口だが、それでもMeが強いのは認めざるを得ない。
それでも俺だって結構イケる方だぜ。

分かってるって! 本物は口に出したりしないのだろ。へん! てやんでぃ! それを承知で尚ハッタリ八分の三角野郎なんだよ、俺達は!

国籍だとか、学歴だとか知った事か! 両腕を奮って不可能を可能にしてきたんだぜ。 
南極だの北極だのと似たような極致ばかりを「えいさ、えいさ」と乗り越え飛び越えな。

地球は固いぜ。そいつを掘ってやろうっつーんだから笑うよな。
珠の汗がほとばしり、静脈浮かせてオマンマ頂くのは、その日その日は過酷だが十年振り返れば誇りだよ。
簡単に唾吐かれたりしたら、電撃パンチで腸吐かせるぞ!
六百万の先鋭が届かない所も、この両手で粉微塵にして来たんだよ。

誰かが家の便所で把手を回し、目の前の排泄物とオサラバ出来るのも、そんな彼らの両腕のお陰だ。

50才になっても最強でいよう。

……な、Meちゃんよ。

ちょいと小耳に挟んだが、負けんなよ。
最終的に駄目ならば、また一報呉れ給え。
俺がお前の泥船を漕いで、全部下に観てやるぜ!
  1. 山川草木
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4万回嘘をついた男の話。

2006/07/05(水)

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憎むな。恨むな。妬むな。怒鳴るな。誤解するな。早合点するな。断ち切るな。決め付けるな。無下にするな。閉ざすな。捨てるな。白けるな。疑うな。

空は甘く固い。

風は湧いて緑。

水が速く笑い 土に角が薫る。

Booが怯えて寂しそうだ。誰を頼るべきか見当がつかないから。

そうだ! 正真正銘の嘘つきは、嘘を並べすぎて何が心の扉を開ける真実であるか、考えても考えても思いつかない。

ただ記憶に残る「あるもの」は、どんな嘘をついても誤魔化せやしなかった。

だろ? そうだよな? 4万回の嘘で羞恥心だの自尊心に理屈の城壁を築いても、「過去」と「現在」と「未来」が同居する最上階の本丸は、たとえば君が死んだとしても、肉体を離れ、魂が散り、電子の様な物になったとしても、「真直ぐ」に延びてゆく。

絶対。確実に。

俺は何度も何度も試してみたんだよ。
ところがね、許しては呉れないのさ。
自分自身がね。

七日七晩かけて創ったのも出鱈目さ!
ざっと十億年はかけたかな。

勿論、これらも全部嘘だ!

君も君を愛しているか?

この嘘を真実にするのは君次第なんだよ。
  1. 山川草木
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素敵な奴らが世界の真昼で……。

2006/07/02(日)

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偽物の与太者とよそ者の見せ物を眺めて

涙流れて 思わず剥がれた画面の向こうの仮面は無効

びー玉位の目玉が全て いとおかしくていとおしい

ジャンボジェットの轟きに 近所の犬の高音が齧りついた

裏切りが横切った通りを渡り のこぎりが恋霧に一人きり

見ろ! 見ろ! 見ろ! 
両腕を無くしながらも 尚、燐と立つ西高東低なトーテムポールだ!

―― 新しい列車が新しい人々を運び、新しい街を創り新しい道路が敷かれる。
 昔馴染みの街道は新しい道路につまみ食いされ、その存在感も奪われた。
人通りは薄れ、自ずと看板を下ろす店、店、店。
その空っぽの店舗は亡骸の様に取り残されたまま。

記憶の墓場の片隅で再会したパンパンなYOUと俺は夕日を浴びてぎこちなく笑った。

「おまえには生きづらいご時世だろ?」

「そうでも無いぜ!」

スピード勝負の判断合戦には、適切な不純物が足りないから深みに欠けるだけなのさ。

本気で笑ったり本気で泣いたり本気で怒ったりするには、結構腹の足しに為らないものも必要だよな。

俺は既に第三楽章のタクトを振り上げたところだが、先日までのフォルテに蹴押され、今一つ拍が合わずに白黒つかず独歩脱犀。

カミングアウトは13才で済ませたよ。
そんな言い方はしなかったけどな。
カミングインしてみるべきさ。

もうすぐ、きっと
Love Makes The World
  1. 山川草木
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